格闘技と武術について(加筆2)
ただ誤解があるのが、武術も実際に戦うときには筋力があった方がいいのです。
当たり前のことなのですが、武術は戦うときも筋力がいらないと思っている人が多いですよね。よく武術の謳い文句として、「力のいらない練習なので女性や子供でも習得できます」とあります。これ自体は嘘ではない(はず)ですが、やはり力で対抗されるとかからないことが多いです。
じゃあ武術なんか意味がないというかとそうではありません。
私は武術とは「力効率」だと考えています。
要は少ない力で大きな力を得る技術のことです。
例えば、腕相撲をするとします。力の均衡している者同士で一方が相手の手首を持って腕相撲をすると、手首を持たれている方が勝ち、手首を持っている方が負けます。
武術とはこのように腕相撲で相手に手首を持たせるような技術なのです。
ですが、小さい子供の手首を大人が握って腕相撲をしても、力の強い大人が勝つでしょう。
武術家との戦いにおいても同じことが起こりえます。
効率的な技の掛け方をマスターした人であっても、それを上回る筋力を持っている人にはかからないことはままあります。
ですが、筋力の強い人に技がかからないといっても技ができていないわけではありません。それは腕相撲の例でもわかると思います。相手に手首を持たせられたとしても(技が正しくかかったとしても)、勝てるとは限らないという事です。ただ、圧倒的に有利になっているというだけです。
武術家は高齢になるにつけ筋力が落ちて、これと反比例してどんどん技が洗練されていることになりますが、トータルで強くなっているかは別問題という事になります。
もちろん強さとは筋力と技術だけで測れるほど単純なものではありませんが、筋力と武術や格闘技の関係が理解して頂けたら幸いです。
タクティカル・シラット 岩田
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