ショルダーロックのエントリーの肘(1)
武術にはたくさん大切な要素があると思うのですが、私が生徒の皆さんに常日頃から大切なので心掛けるようにお伝えしている要素は「応用力」です。
だからこそ「こうしなければならない」「こうしてください」という指導は極力しないようにしています。一つの形に縛られて応用力を失ってほしくないのです。もちろんどうやってもいいというわけでありませんが、正解は一つではないということです。
例えばショルダーロックのエントリー時の肘。
これはエントリーする際に、打上げ肘で相手の鎖骨を打つのが基本となっています。
ショルダーロックはその名の通り相手の肩を押し下げ相手を拘束する技ですから、右肩を拘束するのであれば右鎖骨に肘打ちして右肩周りを痛めておく、願わくば鎖骨を折ってしまって拘束できれば理想的ですよね。相手は腕が動かせないし、痛みで拘束を外れようと暴れないはずです。
ただ実際に組手をやってみるとわかるのですが、自分以上の体格の人にショルダーロックのエントリーで打上げ肘を打とうとしても肘が鎖骨に当たることはまずありません。先に肘が相手の胸筋に当たってしまうのです。鎖骨に当たるのは相手が極端に前かがみになっている時だけです。 もちろん肘を相手の胸に当てられるのであれば相手にダメージを与えられますが、本来の目的とは違ってしまっていますので別のバリエーションと理解した方がいいです。
ただ単に相手に大きなダメージを与えるだけならば、水平肘で相手の喉を打った方が効果的です。でもショルダーロックの肘のコンセプトは肩を拘束しやすいように肩回りにダメージを与えておく、そのための「手段」としての肘打ちでした。
では、そのコンセプトに沿うとすると自分より体格の大きい人へのショルダーロックのエントリーの肘はどうすべきなのでしょうか。
続きは次回です!
タクティカル・シラット 岩田
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